海外コミュニティのredditから「すしを極めるのに本当に10年以上かかるのか、それともただの売り文句なのか?」という投稿を翻訳してお届けします。
すしを極めるのに本当に10年以上かかるのか、それともただの売り文句なのか?
(投稿主)
日本で板前のもとで修業した人の話が聞きたい。いいすしを作るには、酢飯づくり、新鮮な素材の仕入れ、包丁の技術、魚の下ごしらえなど、いろいろなことが必要なのは分かっている。でも、「完璧な酢飯を理解するには3年必要だ」と言われ、魚に触る前に3年も米を混ぜるだけだった、といった話を聞くと、気になってしまう。
海外の反応
・海外の反応
実際に日本で寿司を握っている職人だ。
誰にでも、30分あればカリフォルニアロールを教えられるし、数回シフトに入れば基本の握りを教えることもできる。それも寿司だ。目的を達成した、という意味ではね。
ただ、自分がいつも引っかかるのは、ほとんどの人、とくに料理人なら「食材を扱う技術は反復が必要だ」ということを直感的に分かっているはずなのに、このスレでそれを理解していないコメントが多いことだ。
冬と夏ではサバの塩の量や締める時間をどう変えるのか? カレイはいつ出すのが最も良いのか?
「4か月で寿司を覚えた」と言う人たちは、新鮮な貝を弱火でやわらかく煮たり、生のタコを揉んで下処理したり、アワビを目の前でじっくり見たことがあるのだろうか?
季節性、熟成の度合い、さまざまな処理方法など、魚を扱う難しさは明らかにあるけれど、それでも自分は「米のほうがもっと難しい」と思っている。
自分は酢の味つけを、その日の献立に合わせて変える。塩や砂糖の割合を変える時もあれば、昆布を入れて火にかける時もあるし、酢の種類を混ぜることもある。
それに、いつもコシヒカリが最適だとは限らない。去年は「ななつぼし」を使った。年ごとの出来を見ながら、新潟・岩手・宮城など、その時に良い産地の米を選ぶ。
だから、自分は「寿司を身につけるのに10年」というのは妥当だと思っている。寿司そのものが特別に難しいからではなく、ただ単に習熟し、反復を重ねる対象が多すぎるからだ。
とにかく、これが自分の考えだ。
どうせ大量のバッド評価と、「ブラインドテストで米の違いなんて分からないだろ」と言ってくる西洋の寿司シェフが現れるだろうけどね。
・海外の反応
>>「寿司を身につけるのに10年」というのは妥当だと思っている。
自分は寿司職人ではなく料理人だけど、完全に同意しているよ。
優れた料理人になるには少なくとも10年かかる。季節の変化を10回経験し、食材や技法を体で覚える時間が必要だ。外からは見えない、考えも及ばない工程が山ほどあり、本当に上手くなるには強い献身が不可欠。
・海外の反応
>>本当に上手くなるには強い献身が不可欠。
まったくその通り。
この前、職場でトマトを切っていたら、雑務をしている上司の父親が立ち止まって「なんでそんなに均一に切れるの? 自分が切るとグシャッとなる」と聞いてきた。
自分は「何千個、何万個と切ってきたからです」と答えた。
でも、そのあとふと考えたら、自分もレストランで働く前は、BLT用のトマトを一つもきれいに切れなかった。つぶしてしまった。
今は無意識にできている細かいことが、全部、長い年月の反復から来ている。
材料を並べて料理するだけなら誰でもできる。でも「速く・正確に・毎回同じように」やるには膨大な練習が必要なんだ。
・海外の反応
>>ただ単に習熟し、反復を重ねる対象が多すぎるからだ。
本当にこれは“技”なんだよね。そして献身的に取り組む人たちは驚くほど上手くなる。
10年前に自分が捌いた鶏の数を計算したら1万羽だった。今はもう想像もつかない。
熱意を持った料理人が集まるキッチンほど気持ちいい場所は他にないよ。
・海外の反応
自分の場合は玉ねぎだった。昔は50ポンド(約23kg)を皮むき・みじん切り・細切りするのに4時間かかっていた。でも調理担当を卒業する頃には、4袋を1時間ちょっとで終えられた。
反復こそがすべて。
・海外の反応
自分はシェフではないけど、20年近くキッチンで働いてきた。
誰でもカリフォルニアロールは作れる。でも最高の食材から完璧な握りを生み出すのは、技術を超えて芸術に近い。
自分は20年ほど寿司を作っているけど、まだ「有能」と呼べる段階にも届いていない。職人の所作を見ると謙虚な気持ちになる。
・海外の反応
失敗して、できるようになるまで繰り返す。
できるようになったら、それをもっと良くできるように繰り返す。
もっと良くできたら、今度は“最高”を目指す。
そして最高に到達しても、まだ「もっと良くできる」と気づく。
料理はその連続だよ。
単純に寿司を握るだけなら1週間で握れるようになるけど、それでは最高には程遠いんだよ。
・海外の反応
>>もっと良くできたら、今度は“最高”を目指す。
本当にその通りだ。少し話をさせてくれ。
自分は代々ニューオーリンズで暮らしてきた家系で、ずっとケイジャン料理やクレオール料理の店で働いてきた。
ガンボ(スープ料理)なんて、目をつぶってでも作れる。自分はそれなりに誇りを持っているし、賞を取ったこともある。だから、「自分のガンボが誰よりもうまい」と思っていた。
でも家で作る時、材料を並べてしばらく見つめてしまう。
「もっと良くできる。もっと細かく切るべきだった。あれを変えるべきだった。次はこうしよう。」
毎回そう思う。
「完璧だ」と思った次の日に、さらに良いものを作ろうとする――それが成長なんだ。
・海外の反応
>>「完璧だ」と思った次の日に、さらに良いものを作ろうとする――それが成長なんだ。
まさにそうだ。
自分は昔、自分の料理に自信を持っていたけれど、実際にシェフとして働くようになって、もっと上手くなった。
知らなかった技術や視点がいくらでもあって、それに気づくたびに学び直している。
料理は一生かけても「本当に極めた」と言えない気がする。
・海外の反応
>>失敗して、できるようになるまで繰り返す。
自分はビール醸造を専門にしているが、これもまったく同じだ。
経験、失敗、実験、食材の癖、季節の変動、気候による素材の変化……覚えることがとても多い。
「ビールは主に4つの材料だけでできている」とよく言われるけれど、実際にはずっとずっと複雑なんだ。
・海外の反応
いわゆる「1万時間の法則」だよね。
どんな分野でもそうだけれど、早く覚えることは誰でもできる。でも“微妙な差”を理解するには、時間と経験が必要になる。
・海外の反応
「季節を10回経験する」という話が好き。
業務用の冷凍品ばかり扱っていれば、季節はあまり関係ないかもしれないけど、鮮魚や野菜を扱うなら、10回分の季節を知ることが、上達に必要な蓄積なんだと思う。
・海外の反応
>>「季節を10回経験する」という話が好き。
とてもよく分かる。
以前、パン担当の元上司が、粉に触っただけで「水の量を増やすべきだ」「湿気が高いから調整が必要だ」と判断していた。
家庭のパン作りでは、数か月でそこまで分かるようにはならない。
小麦を収穫し、粉にする工程まで知って初めて見えることもある。
どの分野でも、そんな深いレベルがあるのに、「数回やっただけで全部分かった」と言われるのは正直、侮辱に近い。
・海外の反応
>>家庭のパン作りでは、数か月でそこまで分かるようにはならない。
昔、資格を持ったパティシエがいて、オーブンに生地を入れた瞬間の匂いで「温度がズレている」と分かっていた。
・海外の反応
寿司職人ではないけど、25年以上、シェフやF&B(飲食)責任者をやってきた。
料理を始めて1年くらいの時、自分は何も知らなかったくせに「何でも分かった気」になっていた。でも今になって思うと、本当に何も知らなかった。
知れば知るほど、知らないことが増えていく。それが本当の学びだ。
今「寿司は3か月でできる」「肉のさばき方は1か月で覚えた」「パティシエ技術は1週間でマスターした」と言っている人たちには、この“知らなさの自覚”がないんだと思う。
・海外の反応
>>“知らなさの自覚”がないんだと思う。
これは料理だけじゃなく、どんな分野にも言える。
ある程度知識がついてくると「まだ学ぶことが山ほどある」と気づけるし、同時に“学ぶための土台”もできている。
そこまで到達できると、学ぶのが楽しくなるんだよね。
・海外の反応
>>“知らなさの自覚”がないんだと思う。
自分は家庭料理しかできないけど、この話はすごく腑に落ちる。
車の修理だって同じだ。
自分の車なら直せるけど、メカニックのように「音を聞いただけで問題点が分かる」なんてことはできないし、作業にも時間がかかる。
寿司も同じで、YouTubeを見れば巻物くらい作れるかもしれないけど、熟練の職人とはまったく別物だと思う。
・海外の反応
15歳の頃からこの業界にいて、今43歳。
20年前に料理学校に通い、数々の高級フレンチで働き、
“南部でベストシェフ”のジェームズ・ビアード賞を取った店でもラインクックをしていた。
高級ステーキハウスのシェフも務めた。
そんな自分が、6か月前に寿司×ステーキの高級店を任されることになった。
給料も良いし、また学べる喜びが戻ってきた。
20年以上フレンチを極めてきたけど、これからは寿司を何十年もかけて極めたいと思っている。
もちろん今の時点でも仕事は“こなせる”。
でも、それは本当の寿司職人ではない。
また一から学べる今がとても楽しい。
・海外の反応
こういう“見えない細かい積み重ね”こそが、本当の熟練を作る。
そして本当に熟達した人ほど、「まだ知らないことがある」と分かっている。
多くの人は料理の世界でもこうした視点を持っていないんだと思う。
・海外の反応
寿司職人の話には完全に同意するよ。
自分は10年近く毎日のようにパスタを作り続けてきたけど、それでもまだ初心者みたいに感じる時がある。
それと、多くの人が見落としている大事な点がある。
“シェフの仕事は、時間、効率、マルチタスクの塊だ”ということ。
家庭料理なら時間をかけて作れる。
でもプロの現場では、早く・正確に・同じ品質で出さなきゃいけない。
湿度がどうか、食材の状態がどうか、問題が起きる前に察知して修正する。
その判断を瞬時にできるかどうかが、熟練の証だと思う。
それには何年もかかる。
・海外の反応
海外の人の多くは、本当に“いい寿司”を食べたことがない。だから、寿司の奥深さについて理解してないんだよね。
